科学的管理法

20世紀初頭にアメリカの経営学者テーラーによって考案された経営管理法である。19世紀末のアメリカ産業界では、経営規模の拡大と自由競争の激化が進行していたが、経営管理の手法は相変わらずの「経験と勘」に依存した「成り行き管理」であった。生産能率の増進と工場作業管理の合理化を進める必要から、テーラーは、優れた作業者が行う仕事の動作や時間についての研究を行った。

それに基づいて、一日になされるべき公正な仕事を「課業」として決め、一定の「課業」を最短時間で完全に遂行した労働者が最高賃金を獲得できるという出来高払いの賃金管理制度を中心とする方策を考案し実施した。それは、組織の業務を細かい仕事に分類して、各仕事の内容と所要時間に応じて人を配置することによって業務全体を能率化するという経営管理のやり方を広めることになった。

科学的管理法は合理化・能率化を進める当時の産業界に大いに受け入れられ、発展期にあった学校教育の行政管理にも影響を与えた。しかし、後にこの方法は、労働者を機械と同等にみなしていることや、経営者の独裁的色彩が強いことなどをもって批判され、「人間関係論」などの新しい考え方が台頭することになる。

だが、日本でも1960年代に「学校経営の近代化」論の基礎理論としてこの考え方は取り入れられ、教育行政や学校組織の合理化に重要なインパクトをもたらした。

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