人間関係論

20世紀初め頃、アメリカでは、科学的管理法に基づいて組織における仕事の合理化・能率化が進められ、生産性を高める要因が模索されていた。

1930年に前後して、生産性を高めるための条件を解明すべく、電話機製造会社の「ホーソン工場」で行われた実験は、重要な問題を見出した。科学的管理法の考え方に反して、生産性は労働者が作業を行う物理的条件(照明度や休憩の取り方など)よりもむしろ、非合理的な情緒的要因(感情、態度、認識など)によって大きな影響を受けることが明らかになったのである。

組織成員は、成員どうしのコミュニケーションのあり方や意思決定への参加のあり方など、インフォーマルな人間関係の中で満足感を得て、仕事に対する動機づけ(モチベーション)や志気(モラール)を高めているのである。

こうした考え方は、科学的管理法に依拠して人間を「機械」のごとく捉え、権限・責任を明確にした職位に成員を的確に配置すれば生産性が高まると考えていたそれまでの組織論に重要な修正を迫るものだった。1960年代後半以降の日本の学校経営論においても、人間関係論は科学的管理法に依拠した「近代化」志向に修正を加え、「民主化」の観点を加えるなど重要な役割を果たした。

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